こんにちは。現在専門学校に通っている学生です。

これは私が小学3年生時の話です。

親の都合で引っ越してちょうど1年も経とうか、という7月の頃。一人で学区外をサイクリングをするのが密かなマイブームでした。

当時携帯もなにも持っていなかったので地図は無く、太陽や建物の位地などでだいたいの方角を頼りに街を探索していました。幸い、関東平野の畑ばかりのエリアであったため、とても見晴がよく、目印となる大きな建物が遠くからもよく見えました。

その日も先生や保護者、知り合いに見つからないように学区を出ました。
「今日はまだ行ったこのとない線路の向こうへ行こう」そう意気込んでいました。今までに何回も来た学区外の商店街を抜け、線路沿いを走り、踏切を探しました。ここの線路は土手のように小高く、向こう側は全く見えません。見つけた踏切は自動車一台がやっと通れるぐらいの幅しかなく、急な坂になっていました。

私は自転車を押して登りました。すると巨大な赤い月が見えました。そこで思わず立ち尽くしました。背後ではカンカンカンカンと、踏切が鳴り始めました。怖いと思ったものの好奇心が勝って進むことにしました。

踏切の向こうはなだらかな坂になっており、手前は畑が広がり、遠くの方に家やビルが見えました。空は、右には夕陽、左には赤い月が?ほど出ていました。その光景は綺麗ですがどこか不気味です。月にいたっては天球の?ぐらい大きく、クレーターがくっきりはっきり見えました。

「月が地球に落ちてしまうのではないか?」私は不安でした。いてもたってもいられず、その場をウロウロしました。

すると坂の下に小さな公園を見つけました。公園には満開の桜が咲いており、遊具はありませんがベンチがあったのでそこで休憩しました。空を見上げると依然として赤い月が見えます。私は夕陽が赤く大きいのは光の波長によるものだと図鑑などで知っていたため、「きっとこの月もそうなんだ」と、自分を納得させようと必死でした。

後で調べたことですが、実際に赤い月はこの原理で見えるそうで、写真もネット上にたくさんあります。しかし、どの写真も私が見た月より小さく、赤いというよりオレンジっぽいです。

そうやって赤い月のことを考えている中、ふと顔を上げると目の前に茶トラの猫が座っていました。首輪などは着けていませんでしたが、どこか人慣れしているようでこちらを見ていました。すると猫は立ち上がり、スタスタと歩き出しました。私は座ったままその様子をぼーっと見ていました。猫は公園の出口で止まり、こちらに振り返りました。なんだか「ついてこい」と言われている気がしてそのあとをついて行きました。

猫は先ほどの踏切を渡り、私の家の近くの空き地まで案内しました。案内されていると思ったのは、時折猫が振り向いてこちらを確認しているようだったからです。

その空き地には猫が5匹ほど集まっていました。それぞれ顔も合わせず、お互い少し距離をとっていました。すると私に気がついたのか一斉にこちらをジッと見てきました。なんだか睨まれているような気がして、自分の場違い感に耐えきれず、茶トラに目線で助けを求めました。しかし、茶トラは何食わぬ顔で毛繕いをしていました。

その場にいても何もすることが無いのでそのまま家に帰りました。

当時は「月が地球に落ちる」と心配で数日間寝つきが悪かったのですが、今考えるとあの公園の桜が季節外れで咲いていたことや、それ以上に茶トラの猫が謎に思えます。猫の集会所へ案内されることはたまにあるのですが、初対面の猫に連れてこられたのはこれだけです。それから集会所にいた5匹の猫はこの体験以前から知っている猫たちだったのですが、茶トラだけは見覚えが無く、その後も会っていません。

また当時、踏切のことを近所の人にきいたのですが、踏切を知っている人はいませんし、地図を見ても記載されていませんでした。その時は、「ちょっと遠いし人気も無さそうだし、近所では知名度低いのかな?」とか、「小さい踏切だったから地図に載ってないのかな?」と、特に不思議には思っていませんでした。しかしよくよく考えると線路は家からそれほど遠いわけではありませんし、あの踏切もそうだと思います。一人や二人ぐらい知っている人がいてもいいような気がしました。

この出来事以来あの踏切へは行っておらず、今では他県に引っ越してしまいもう行くことはないと思いますが、あの場所は一体何だったんだろうと、今でもふと思い出します。

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