40歳女、実際に起きた不思議な体験

40歳、既婚の女です。
今から20年ほど前、実際に起きた不思議な体験があります。

私は心霊の類は全く信じておらず、非科学的なものは存在しないと思っていました。
ですが、私の親友は子供の頃から、そういうことに怯える子でした。
何にでも怯える子でしたが、暗闇に怯えたり、おばけが怖いとか、誰かがいる気がするとか言い出したり。

彼女はドラマか小説に出てくるような、絵に書いた不幸少女でした。
何故こんなにも不幸が彼女に降って湧いてくるのか?それこそがある意味最大のミステリーなんですが、偶然とは思えないほど、子供の頃から不幸な環境にいました。
そういう境遇が、彼女を怯えさせやすい性格にしてしまったのだと私は思っていました。

実家を早くに出たかった彼女は、若くして結婚しました。
相手がろくでもない男性で、私の反対も聞かず結婚したんですが、案の定旦那の酒癖の悪さや暴力で結婚早々悩まされていたんです。
お金持ちのおぼっちゃまだったせいで、新居だけは立派な新築マンションでした。
でも、買って早々、彼女が怖い怖いと良く言っていたんです。
夜にピンポンが鳴るけど、出ても誰もいないとか何とか。。

私はろくでない遊び人の旦那のストーカーだろうと思っていたので、警察に届けるのを付き合ったりもしました。
旦那のことで気が病んでいるので、いもしないものを想像をして怖がっているのだろう、と。

ある日の夜、彼女から電話がかかってきました。
「旦那が飲みに行ってて朝まで帰って来ない。怖いから泊まりにきて。部屋に誰かがいる」と。

ははぁ、気持ちが落ちてまた変なことを考えているんだな。
そう思った私は
「大丈夫、私が今すぐ行くからその人引き止めておいて」
なんて冗談を言いながら彼女のマンションまで向かいました。

部屋に着いた瞬間、彼女は泣いて抱きついてきました。
昔からいつも頼られていた私はそんな彼女も可愛いとさえ思うし守ってあげようという気持ちになるので、彼女を安心させるために、じゃあ周辺を確認しますか、なんて張り切ってあらゆる場所を調べました。

でも、誰もいる様子がありません。
とりあえず今後のため、玄関先に防犯カメラをつける場所を確認し、他の部屋も全部見終わってリビングに戻りました。
テーブルに座って一息つこうとすると、彼女がコーヒーを淹れてくれるとキッチンへ向かいました。
キッチンはリビングスペースにあり、リビングに入る扉の横がオープンキッチンとなっています。

すると、座って待っていた私に、彼女が
「なんでここにイス置いたのー?何かに使ったの?」
なんて言い出しました。

ふと見ると、リビングの扉のすぐ前に、イス1脚がドン!と置いてあります。
パッ、と目の前に目を向けると、私が座っているダイニングテーブルのイス4脚のうちの1脚がなく、明らかにそこに移動しています。

ちょっと待て待て待て。
リビングを出入りしたのは私だけ、彼女はずっとリビングにいました、確かに。
リビングの扉は内開き。
私が戻って来た時から置いてあったとしたら、私が入る時、扉は開かないし邪魔だし、絶対に気づくはず。
ということは、私がリビングに戻ってから10秒程度の間に友人が動かしたことになるけど、私は部屋に入ってすぐ、このダイニングテーブルに座ったんだぞぉ?!!

一気に血の気が引きました。

友人を怖がらせないために、とっさに私が動かしたと嘘をつきましたが、今でもそれは彼女に言ってません。
非科学的なことを認めたくない私はその日、あらゆる可能性を考えましたが、どれも絶対に不可能です。
あり得ない出来事ですが、作り話でもなく、実際にあったんです。
身体も精神も正常な自分が、間違いなくこの目で見ました。

彼女は1年も満たず旦那と別れたので、そのマンションもすぐ出る結果となりました。

あの出来事が何だったのか、不思議すぎて今でもたまに思い出しますが、数年前、彼女のお姉さんが神妙な面持ちで、
「公園に変なおじさんがいると妹が言うからどんな奴か見に行ったら、確かにいたのに一瞬で消えた」と話していました。
みんな作り話だと笑って聞いていましたが、私はまたそこでゾッとしました。

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