40代の主婦です。
私の実家は田舎で、通学路はまだマシですが、あぜ道だけで小学校に行けるような自然に囲まれたところで育ちました。
低学年や中学年の頃は、探検と称して、あぜ道を棒を持ったりしながら登下校をしていましたが、高学年になると、さすがに、通学路が一番適当な道だという認識ができ、通学路で登下校をするようになりました。
私の家の近くには、マンションなんてものはなく、数軒の家が点在しているくらいだったので、登下校は専ら一人でした。
学年が小さい頃は、まだ姉や、他のお兄さんお姉さんがいましたが、私がその周辺で一番年下だったので、高学年になると必然的に一人となりました。
通学路は、車道の端っこを遠慮しながら歩く感じで、路肩は本当に狭く、私は、この道を一人で何とか楽しみながら登下校をしていました。ケンケンで歩いてみたり、白い線だけを歩いてみたり、息を止めて歩いてみたり。色んな事をしました。中でも反対側が田んぼで田んぼの地面が1メートルくらい下にあるところがあったのですが、その路肩のギリギリを歩く事を楽しんでいました。舗装されていなかったので、安定が悪く、そして、それが楽しかったのです。本当にギリギリのところを歩いていた時、私は踏み外して、田んぼに落ちました。太ももの内側はコンクリートを擦って、血だらけで、しかも田植えの時期で、片足の靴は粘土のような土でグチャグチャでした。自分が情けなくて、でも自分のした事だったので、帰るしかないと、思いながら、ふと、母親は悪い事があった時は、必ず、いい事がある、と言った事を思い出し、自動販売機のおつりのところを覗くと、お釣りがありました。
母親の言った事が本当だったので、嬉しくなりました。
それから、1週間後に、また同じところで落ちてしまいました。さすがに母に叱られる、と思いながら、また、自動販売機のおつりのところを覗くと、またお釣りがありました。
次の日は、落ちませんでしたが、おつりのところを覗いても、お釣りはありませんでした。それから、おつりのところを覗くのが日課になっていましたが、お釣りはありませんでした。
秋になって、不思議に思っていた事すら忘れていましたが、2度落ちた場所で、今度は自転車にぶつかりました。まさかと思いつつ、おつりのところを覗くとお釣りがありました。
その時は、お釣りがあって嬉しいくらいの事でしたが、不思議な出来事でした。